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実はこの作品は未完故に正式な名称も与えられておらず、この「ワニ」というのも通称に過ぎない。20数年前から作り始めた本作品も御覧のように完成には至っていない。しかしシルバー950という無機物を素材としながら、その鱗に見られる硬軟取り合わせたような質感、そして身体中に生える棘の様なパーツ、不均質故に逆にリアリティを感じさせる牙、見るものの眼を捕らえて離さない歯茎(というのか)と口腔内までの、禍々しいまでの存在感が写真からでも見て取れるのではないだろうか。
鳥の足にも似た、凶暴さを想起させる爪を持った足にも注目して欲しい。身体と繋がっていなくともそこに見られるその力強さは、完成時、推定20cm弱といわれる実際のサイYを超えたその姿を想像させてくれる。
実は一馬氏本人の頭の中にはその完成予想図は出来上がっているらしい。未完の作品故に勝手な妄想を与えてくれている、という側面は確かにある。しかしサクラダ・ファミリアのような末路を辿らぬ様、あるいは人知れず忘れられてしまい、幻の作品になることのないように、完成したその姿をいつか我々の眼に披露してもらえる、切に望んでやまない。 |
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